2018年に注視すべき3つの小売業トレンド

http://www.thedrum.com/opinion/2017/12/21/three-retail-trends-watch-2018

物理的な小売業は、電子取引商業の時代に未曾有の挑戦に直面している。イノベーション(革新)研究・顧問会社のスタイラスは、2018年以降にこの分野を動かす3つのトレンドを特定した。

実店舗の小売業は、終わったと言えないが、顧客にすべてオンラインで買い物を済まさせないよう正当な理由を提供するためには、危険を懸け冒険をしなければならない。

 

だから、新種の機敏で、将来を保証するブランドのための空間がやってきている。ブランドは単なる商品を越えたものを考え、新しい世代のレベルのサービスを提供する必要がある。

 

以下に示すのは、新年を迎えるにあたり、考えるべき3つの機会である。

 

サービス中心の小売業

 

商品を顧客に売るための機会は、冒険的な小売業にとっては、牽引力というよりは副産物になりつつある。2017年11月にロサンゼルスで開店したノードストーム・ローカルは商品取引のための在庫をなくすという調子を定めた。サービスは、クリック・アンド・コレクト(収集)や、カーブサイド・ピックアップ(縁側での受け渡し)、商品の個人化、仕立てや改造を含む。ノードストームの商品でない場合でさえも、である。部分的な空間にはネイル・サロンやワインバー、コーヒー店を入れる。

 

先の予定を見ると、我々はナイキの旗艦店が2019年初期にニューヨークの5番街に開店する予定であることに興奮している。69000スクエアフィートの5階では商品は販売しない予定である。代わりに、ナイキプラス・カスタマー・クラブの会員に対して、特別レベルのサービスで対応し、「ユニーク・プロダクツ(特殊な商品)や体験、好みに応じた時間」を提供する、とナイキは言う。会員はナイキ・エキスパート・セッションに出ることができる予定だ。これにより、個人的な買い物とアドバイスを求めて、専門家と一対一での面談ができるのだ。

 

我々はまた、日本のスポーツ靴ブランドであるアシックスの最新のベルリン店も好んでいる。この店は2017年7月に開店し、「サウンド・マインド・アンド・ボディ(健全な心と体)パフォーマンス」というサービスを提供することに注力している。顧客は、個人的なトレーナーやアスリート、医師に相談できるのだ。彼らは必ずしもブランドとは提携していないような場合もある。

 

サービス中心であったり、サービスだけを提供する店はもはや新しい発想ではない。それこそ、顧客とデジタル空間を越えてつながる方法の鍵となるのだ。

ケア・コマース

 

我々は、商品の寿命を延長するサービスへの需要が高まることを予想する。

 

店は、顧客が購入したものを維持できるよう助けるだろう。これはケア・コマースとして知られ、急激に成長する再販売市場を補う。この市場では、商品の完全度にかかっている。この傾向によって、繰り返しの使用が促進され、ブランドと消費者間のコミュニケーションのラインも延長される。

 

このことが、Z世代とミレニアル世代に特に関係している。彼らは、購入品を自分の好みにして、通常の貯蔵寿命を超えて「資産」を維持したがる。より起業家風に言えば、買い物は彼らの欲求物であるのと同じくらい、投資、再販売のための購入ともなるのだ。 

 

ブランドはこの傾向を生かし始めている。ナイキは、モスクワの旗艦店でスニーカーのドライクリーニングと刻印のサービスを始め、フランスのラグジュアリー・ブランドであるエルメスはカラーの専門家を伴うランドリーサービスを世界中で突然始めた。これはエルメスを代表するシルクのスカーフの所有者に向けて無料のドライ・クリーニングと染めのサービスを提供するものだ。

ソフト・セル

2018年にはハード・セルは時代遅れとなるだろう。今日の顧客は彼らの予定済みの購入品をスマートフォンで研究しているので、時に店員よりも情報が豊かであることもある。小売業にとっては、単に消費者を商品に向かわせるよりはソフトな対応をとるべきだ。
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ソフト・セルは10代や若者に対して特によく響く。彼らは店や(オンラインでも)グループで買い物するのを好むのだ。放課後や週末のたまり場となるように、より多くのブランド空間を用意したほうがいい。

 

このような空間では、顧客が誰とつながったり、あるいは、影響を与えたり、ということを決めながら、学ぶ、あるいは試すことができるのだ。長年の戦略として使うか、思いつきの技として使うかにかかわらず、そのような発想はとても素晴らしい消費者牽引力を生み出す。

 

英国の若者向けファッション小売業者である、トップショップのVRウォーター・スライドは2017年の夏から始まったが、ソフター・セル手法の良い例であった。VRヘッドセットの映像は商品を示さず、電子取引関連物も何も示さなかったが、顧客は参加するために列をなした。

 

ウォータースライドの小道具、小さなポップアップ店、アイスクリームの屋台、夏をテーマとした髪やネイル・バーのすべてによって、この小売業者は店を大人気にさせた。

この「非消費」戦略のもう一つの心強い例は、バージン・メガストアのアブ・ダビ旗艦店である。このたまり場では、訪問者(多くは20代中盤か、それ以下)が舞台でパフォーマンスを行ったり、あるいは、DJブースを好きに使えるのだ。これは家と学校の間の「第三の場所」を作り出した。

 

最終的なゴールはまだ売り上げかもしれない。しかし、必ずしもその日、あるいは物理的に同じ場所から、である必要はない。ブランドは、ローヤルティ(忠誠心)を築く技を売り、体験を届け、長期にわたる仕事の中で顧客と一緒にいてもらう理由を提供できるよう探求しなければならない。

 

ステファニー・ドーファーは小売業、ビジュアル・コミュニケーション、ブランド戦略の専門家である。彼女はイノベーション(革新)を観察し、スタイラスの顧客に向けて小売業のランドスケープに中で起こる劇的な変化を分析する。新店舗やデジタル発想から、消費者呼び込み戦略まで、である。